【連載・これからの大学入試⑥】増加する推薦系入試! わが子に向いているのはどれ?

あなたは大学の「推薦入試」「AO入試」と聞いて、どんな印象を持たれるでしょうか。いずれも「推薦系」入試の一つではあるのですが、いま一つ違いが分からないと言う方も多いでしょう。また、近年の大学入学者の内訳を見ると、推薦やAOで合格を決めた学生がかなり増加しています。その理由や、推薦・AO両者の違いに触れつつ、どのような受験生がどの選抜方法に向いているのかを解説します。

私立大生の約半数が、推薦・総合型での入学

 近年、「学校推薦型選抜(以下、推薦)」「総合型選抜(以下、総合)」での入試を実施する大学が増えています。両者は2019年度まで、それぞれ「推薦入試」「AO入試」と呼ばれていた入試方式です。

文科省の調査によると、私立大学生のほぼ半数がこの推薦・総合で入学していることが分かっています。また、今まで一般選抜(共通テスト含む)重視の姿勢が強かった国公立大学でも、「推薦入学の募集人員が全体の3割を超えないこと」としていた指示を、2020年度から「推薦+AOで5割を超えない範囲」にまで引き上げています。

この理由は大きく二つ。一つは大学側が学生の多様性を重視し始めたためで、教科学力以外の強みや個性を持った学生たちも含めて学び合い、相互に刺激と活性化をもたらそうと考えたからでした。もう一つは、少子化による大学の経営難。一般選抜よりも早く合格が決まるこれらの入試で、早期に学生を確保したいという現実的な側面も背景にありました。

 

私立大学では、推薦・AOでの入学者数が約半数を占める

出典:文部科学省 『大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査(令和2年度)』

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高校までの頑張りを重視する「学校推薦型選抜」

 さて、教科学力以外の要素も判定基準に用いるこれらの入試。共に書類審査や面接などを課すことが多く、それをもって受験生を「推薦」する仕組みのため、両者を合わせて「推薦系」としてまとめる考え方もできますが、厳密には異なる入試制度ですので注意が必要です。

推薦は、高校での成績や部活動、委員会、ボランティアほか学外の活動まで含めて、受験生の意欲や個性、活動実績などをもとに合否を判定します。多くは評定平均の目安(5段階で3.5以上など)を満たすことが出願条件となっていますが、別途学科試験を設ける大学も。

また「公募制」と「指定校制」があり、前者は出願条件さえ満たせばほぼすべての高校生が対象となります。後者は各大学が「この高校から何人まで」と、あらかじめ対象校と人数枠を指定しているため、誰でも出願できるわけではありません。実質上、高校内でのセレクションさえ勝ち取れば、合格率は極めて高い入試です。

どちらかと言うと、「高校までに何をどれだけ頑張ってきたか」という実績にウェイトが置かれる傾向が強いと考えて良いでしょう。

違いは「誰が」推薦しているのか

一方、総合(旧AO)は導入自体が1990年であり、保護者のみなさんの中には馴染みが薄い方も多いのではないでしょうか。教科学力以外も判定基準にする点では推薦と同じであるため、違いも分かりにくいかもしれません。

決定的な違いは、その受験生を「誰が」推薦しているのかでしょう。学校推薦型において受験生を推薦するのは「高校(校長)」です。そのため、成績基準を満たしていても欠席日数や授業態度などに問題がある場合、推薦が得られないこともあります。

しかし、総合で受験生を推薦するのは「自分自身」。つまり「我こそは貴学に相応しい!」と自らをアピールするのです。推薦に比べると出願資格は厳しくないうえ、学校の推薦も必要ないため、チャレンジしやすい入試であると言えるでしょう。その特徴から、「自己推薦型入試」と称する大学もあります。

ちなみに、両入試とも各大学が独自の名称を設定しているケースがあるため、入試要項をよく読んで、それが「学校推薦型」なのか「総合型」なのかを正しく判断することが大切です。「要項に総合型と書いていないから、この大学は総合型選抜を実施していない」などと判断するのは早計ですので注意しましょう。

実績重視の推薦、未来重視の総合

 もう一つ推薦と大きく違うのが、総合は、受験生の人物像と大学との「相性」を重視する傾向が強いことです。

各大学・学部は「アドミッション・ポリシー(AP)」と呼ばれる入学者受け入れ方針を設定しています。分かりやすく言うと「本学は、こんな学生を求めている」という人物像のことです。将来のキャリアプランなどもふまえ、なぜその大学に入りたいのかを述べる志望理由、小論文、面接、グループディスカッション、プレゼン、模擬授業+レポート提出など、さまざまなツールを用いてAPに合致した人物かを判定するのです。

つまり、仮に現時点の学力等が少し劣っていたとしても、APに適う学生であれば入学後に伸ばせるという発想。学力重視の一般、実績重視の推薦と比べ、総合は未来(ポテンシャルと適正)重視の入試であると言えるかもしれません(ただし、学力や過去実績は不問という意味ではないので注意)。なおAPは、各大学のホームページや学校案内、入試要項等に必ず掲載されていますので必読です。

 各選抜方法における評価基準の代表的な違い

 どの入試が自分に合っているか、適正をよく考えて

このことから、学校推薦型は、日々の高校生活をこつこつと頑張ってきた受験生に向いていると言えます。かたや総合型は、将来やりたいことが明確で、「そのために○○大学が最適だ!なぜなら~」という強い意欲を、論理的に説明できる受験生に向いています

スケジュール的には、総合型(8~10月ごろ)→学校推薦型(10~11月ごろ)→一般(1~2月ごろ)という流れで進むため、これらをすべて受験する三段構えか、総合を受けずに推薦&一般の二段構え、推薦・総合は受けずに一般に絞る対策が代表的。学力への不安から総合で一点突破を狙う受験生もいますが、一般までチャンスを残すためにも教科学習は頑張っておくほうが得策です。

一見、似ているようで違いも大きい両入試。一般選抜も含めて、どれが自分に合っているのか考えることが大事です。

各入試の実施ピーク時期の目安

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